消去


飛行機雲は

流れ星のスローモーションを描いて

耳の奥へと川の音は遠ざかる



手の中のお茶が指の温度を上げると

友人は庭先からプレゼントを摘んできてくれた



カフェは人気モノになってしまうと

静けさを忘れてしまうけど

思い出をどこかで再現し続ける



効率化に閉口してもいい

古い車たちが

どっしりと無駄を謳歌してくれるから



臆病者には

足裏だけをあたためる小さな囲いのなか

赤いくつしたを履いたおとなたちが次々に生まれる



泡立て器が何枚も絹のヴェールを作ったら

アールグレイの香りをつれてきた



きのう観た

雪ウサギのなまえは

一羽だけ秘密