中秋の名月のよるに

落ち着かない気持ちがあったので、自転車で夜10時に散歩(歩いてない)にでた。
中秋の名月だという。
ふりそそぐような、月光。
風がきもちいい。


赤ちゃんを背負った女の人とすれ違った。


ひょっとして、私もあのくらい小さなとき、夜泣きして寝ない私を母は背負い、こうして散歩しただろうか。
きっと私は、母の背中で夜風をうけて、うとうと眠りにつくのが、好きだったに違いない。


こうして、よくわからないが落ち着かないときも、原因のよくわかっている悲しみのときも、夜の散歩にでると、心は凪いで、ねむくなってゆく。
母の背での記憶かもしれない、と勝手に思うことで、幸せだったのかもしれない、とこじつけることで、私は幸せになってゆく。



顔に受ける風
心の温度を上昇させない光
規則正しい歩調


そういう静かなもので、たっぷり満たされると、夜のお散歩は終了する。