遠回りがくれたもの


そっくりな記憶を
再現した陶器のなか
ごとん、と音をたて
動かないのは
すこし熱っぽい日に
うってつけ


ブランケットで回るシートは
最後の汽笛を聞くけれど
フレームにいれた欲しいものは
鮮明になれず
笑って手を振るのだろう


大好きなきみどりいろを
半分こにして
はやく来すぎたミルクと
いくつもの器は
魔法のようにふくらむ


むかいあわなくても
紅茶はやさしい沈黙で
同じものをみていたと知るだろう